便利から一歩進むために

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こんな企画があったので投稿してみた。
一応クルーなので、インナー部門・テーマは「ローソンがマチのためにできること」

 高齢化や女性の社会進出など社会構造の変化が進むにつれ、人々の生活スタイルは刻々と変化してきている。その中でCVSはどのような新しいサービスを提供することで、普段の生活や地域社会に貢献できるのだろうか。
 現在行われているCVSのサービスはメインの小売業に加え、ATMや収納代行、コピー、宅配便の受付のように、何か用事ができたとき「じゃ、コンビニ行こうか」という日常生活の中に溶け込んでいるものである。そのため、新しいサービスや取り組みは一過性のものではなく持続的なものでなければならない。今あるサービスを消費者により便利に利用してもらうためのもの、それが未来のCVSに求められているものである。
 今あるサービスを消費者により便利に利用してもらうためのもの、それはデリバリーサービスである。
 高齢化社会が進む一方で、時間に追われ満足に買い物をする時間さえ持てない人が増加する中で、今後、消費のスタイルは急速に変化していくだろう。体力が低下し自らお店に出かけることができない高齢者が、近所の人や介護サービスに買い物を頼むケースは、現在でも珍しくはない。現に80歳を越える私の祖父母は、25キロ離れたところに住む私の母に週に一度、買い物を頼んでいる。また高齢者に限らず、育児中の母親や毎日が残業で忙しい人などは買い物に行きたいと思った時には行けず、時間ができたと思ったら閉店後だったという毎日が多いはずだ。そのような人達が「欲しい」と思った時にすぐ買い物ができるためのサービスがデリバリーである。
 30年前の日本では酒屋や乾物屋、八百屋など町の商店が御用聞きというサービスをやっていた。商品の配達をしながら家々を回り注文を聞いて、また配達を繰り返すサービスである。スーパーや量販店の出現によって価格と流通の優位性を失い、町の商店が姿を消すとともに見なくなったが、社会構造が変化して買い物弱者が増加するとともに、注文形式を電話やFAX、インターネットと姿を変え、「あなたの買いたいものを配達します」というサービスとそのニーズが増えてきている。
 具体例を挙げると、まず伊勢丹高島屋などのデパートがスイーツや産地直送の果物、野菜を、カタログをもとに通信販売というかたちで宅配サービスを行っており、また青森市昭和通り商店街など、再生を図る商店街が買い物品の配達サービスを行っている。レンタルビデオでは「TSUTAYA DISCAS」やライブドアの「ぽすれん」によるインターネット受付の宅配サービスがある。他にもクリーニングや花屋が配達サービスを行っており、当然ながらピザや弁当、寿司の出前は今も変わることのない宅配サービスである。
 しかし、上に挙げた宅配サービスは全て、特定の商品を扱っているだけで、普段の買い物として日常生活に溶け込むものではない。
 そこで、小売業をメインとしながらも、写真現像や宅配便の受付、マルチメディア端末でのチケット販売、インターネットでの商品取り寄せ販売と幅広いサービスを提供しているCVSが行う、特定の商品に限定しない宅配サービスに、新しい消費スタイルの可能性が出てくる。
 実際にam/pmのデリス便、セブン‐イレブンのセブンミールと宅配サービスを行っているCVSがある。
 デリス便は「仕事や育児で忙しくて買い物にいけないとき、病気やケガで外出できないとき、荷物が重くて負担になるお年寄り」を対象として、電話かインターネットで注文を受け、am/pmの商品を自宅やオフィスまで配送するというサービスである。しかし、実施店舗が少ないことや、注文受付時間 13:00〜21:00、配達時間 17:00〜22:00と24時間対応でないこと、原付による配送で、デリバリーと共に宅急便や写真現像の付随サービスの受付を行っていないことが、1996年9月に開始したサービスにもかかわらず展開が進まない原因だと考えられる。
 また、セブンミールは出来立ての食事や食材セットを宅急便で自宅配送するサービスで、昨今利用頻度が増えている中食に新しいスタイルを提供しようというものである。利用者の評判も良いようだが、利用者の意見には「せっかくなら、ポテトチップスなども一緒に配達して下さるとうれしいのですが」というものもあり、食事や食材の中食宅配サービスと共に、CVS本体で販売されている商品の宅配にもニーズがあるということになりそうだ。
 また、広島県や千葉県の外れの数店舗のみだが、セブン‐イレブンが「御用聞きサービス」として電話とFAXによる注文受付でCVS商品の宅配サービスを行っている。これは本部の展開企画ではなく、オーナー自身が町の人々のニーズを考えたうえの提案で始まったサービスだという。しかし、付随サービスの受付はまだ行っておらず、このサービスの全国展開もまだ考えていない試行錯誤の段階のようだ。
 デリバリーサービスには、消費者に新しい消費スタイルを提供するという面白い可能性があるが、一方でさまざまな問題点が多い。
 地域によってニーズに格差があるということ。配達手段が車か原付か立地によって限定されてしまうこと。クルーの仕事内容が今までと宅配サービスとは根本的に違うものになってしまうこと。都市部では店舗ごとのエリアが被ってしまい、同じ系列店で競合が生じること。清算方法や宅配時の品質管理の確立が難しいこと。と、宅配サービスのためのインフラ整備と設備投資にかかるコストが高いことや、立地や地域の特性に伴った店舗特有の問題点が生じる。
 しかし、そのことは逆に地域によっては宅配サービスのニーズがとても高いことも示唆している。地方ではスーパーや量販店の出現によって以前利用していた近所の商店がなくなり、前までのようなちょっとした買い物ができなくなったため、高齢者や育児中の母親などが買い物に行くときは体力的にきつい遠出をしなければならなくなっている。もし宅配サービスがあるならば、それがかれらの足となることで不便な買い物をしなくても済むのである。
 2005年5月に始まったローソンの新業態「STORE100」は東京都を中心に展開されているが、生鮮食品をメインで取り扱う業態のニーズは地方にもあると考えられる。STORE100は現在立地を通りから一歩入ったところに構え、通りがかりの人ではなく近所に住む人がリピーターとして訪れることを想定して展開されているため、まだ地方での出店が進んでいないが、人口が少ない地方でも宅配サービスを同時に行い、対象エリアを広げることでそのニーズに応えられる可能性が十分にある。またSTORE100は収納代行やゆうパックの受付など一部サービスの取り扱いを行っていないが、地方で宅配サービスを行うからこそ、それらの付随するサービスにも価値が生まれて、ついで買いが増えてくる可能性もあるだろう。他にも岐阜県で展開されている「コンビニ図書デリバリーサービス」も宅配サービスと併用することで、利用が増えるきっかけとなるかもしれない。
 「ローソンがマチのためにできること」というテーマの内容からは外れてしまったが、未来のコンビニを考える上で、高齢化社会や女性の社会進出など社会構造の変化に合わせたサービスを考えることはとても重要なことである。その中で「STORE100」や「ナチュラルローソン」と社会構造の変化に合わせて多種多様な業態を展開し、全国に店舗を持つローソンが宅配サービスを行うことは、今あるサービスを消費者により便利に利用してもらえると同時に、買い物弱者と呼ばれる人々の日常生活のために貢献できることではないだろうか。