電脳VS着衣型PC

携帯電話はもはや電話ではなく小型PCとなり、PDAやノートPCも小型化が進んでいる。
歩きながらメールを打ったり、バスや電車の待ち時間にPDAで作業したり携帯で遊んだりすることは日常茶飯事のことになりつつある。


この流れの先にあるのは何なのか。


着衣型コンピュータというものがある。
ウェアラブル(WEARABLE)コンピュータともいい、携帯電話やPDAの持ち歩く概念をさらに飛躍して、コンピュータを身につけてしまおうという概念のものに開発されている。
ポータブルのものはいつでもどこでも使用可能なものではあるが、使用するときは必然的に何かの待ち時間に限られるか、もしくは他の作業を止めなければならない。
そこで、コンピュータを身につければ、今行っている作業を止めることなく必要なときに必要な作業を行うことができるのではないか、と開発されたのが着衣型コンピュータ。


ウェアラブル機器の未来像を描くファッションショー「メディアファッション2003」開催
マクロメディア、FlashとウェアラブルPCによる情報配信システム
http://www.keyman.or.jp/search/30000278_1.html
http://arena.nikkeibp.co.jp/expo/news/20041021/109868/


私達は既に着衣型コンピュータを日常生活で使っている。


腕時計だ。


デジタルのものに限らず、アナログのものでも腕時計には時計以外に数種の機能がついている。
ストップウォッチ、アラーム、方位磁針、温度、電卓。


これらの機能は特に山や海のアウトドアで活動するときに必要な情報を得るためのもので、ダイビングや登山でよく使われている。


この腕時計の機能は、周囲の環境の情報を得るだけにとどまるが、開発の進んでいる着衣型コンピュータは、得た情報を処理する、または発信することで相互の情報通信をすることが前提にある。


サングラス型のディスプレイや、手袋型キーボード、音声入力装置、コンタクトレンズ型(眼球運動にリンクした)マウスなどを駆使することで、本当のいつでも、どこでも、状況に合わせて情報の処理や通信を行うことができるため、時間と空間にとらわれない作業を行うことが可能になる。





http://www.kittytech.com/


おそらく、考えられるモデルとしては、自転車ロードレースや、モータースポーツのコックピットという場面で使われ、情報を通信することで、その時々の状況ごとにあわせた戦略を立てて戦うことができるというもの。
また、消防やレスキューという救命作業において、要救助者や災害の情報を視覚的に通信するというモデルが考えられるだろう。


コンピュータを身の回りにあるものに限りなく近づけ、さりげなく存在としてしまおうというユビキタスコンピューティングという流れがあると同時に、一方ではそれをさらに進めて、コンピュータを人間の脳の一部と捉え、コンピュータと人間の脳を融合させてしまおう、という流れもある。


私達は目で見た視覚情報や耳で聞いた音声情報、嗅情報、触情報、味情報をそれぞれ脳が処理することで知覚している。
その脳の中で行われている処理は、全て神経細胞の内と外の電位差で生じる電気信号の繰り返しである。
そのため、脳に電気信号を与えてやれば、実際に見ていないものが見えたり、聞いていないものが聞こえる訳なのだ。
映画「マトリックス」シリーズで後頭部に刺していたものをイメージすると分かりやすい。
マトリックス」の世界では、脳の電気信号とコンピュータを接続することで、脳とコンピュータの壮大なるシュミレーティングワールド・マトリックスで妄想の戦いをしていたのだ。


マトリックス」の世界とは異なるが、医療の世界では身体に障害を持った人がコンピュータを操作できるようにと、脳内に電子チップを埋め込んで脳内の電気信号でディスプレイのポインタを操作したり、クリックしたりという技術を開発しているそうだ。


http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050720_cyborg/index.html
http://www.mypress.jp/v2_writers/miyu_desu/story/?story_id=715693
四肢麻痺患者がBrainGateで電子メールをチェック | スラド


この技術を進めていけば、いまコンピュータで行っている作業は全て脳内の電気信号で操作することができる、ということになる。
コンピュータの出力は脳に埋め込まれたマイクロコンピュータの電子チップからでる電気信号によって視覚野に伝えられ、あたかも空間に浮かんでいるような仮想のディスプレイが現れ、音声出力は聴覚野に伝えられ脳の中だけに響く音となり、言語野からでる電気信号で文字や記号の入力ができ、ポインタの操作も脳の電気信号で行う。
ネットもゲームもダウンロードもインストゥールもファイルの処理も全て、脳に埋め込まれたマイクロコンピュータを脳から出る電気信号で操作する世界が来るかもしれない。


そう。まさに攻殻の電脳化の世界が・・・