2005年1月23日。

帰国1日前だった、バンコクで詐欺にあった。


帰国を明日に控えて、お土産を買いにバンコクのセンター街へと繰り出し、伊勢丹や BIG C を廻っていた。12時ごろ BIG C のフードコートで昼飯を食べようとしたところ、タイ人のおばさんが2人近寄ってきて「Where are you from?」と聞く。
バンコクで10日ほど過ごしていたわけだが、タイ人が客引き以外で、しかも英語でわざわざ話し掛けてきてくれることはめったにない。「おぉ、久しぶりに英会話ができる人に会った。」と思いつつ、いっしょに昼飯を食べる。食事中の会話の内容は、姪が日本に留学するから日本の話を聞かせて欲しい、というものだった。
このころの俺は、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、タイと旅行してきて、会った人も良い人ばかり、もちろん人をだましてお金を取るような人には会ったことがなく、さらには「海外を旅行するということは、日本を世界へ発信する一番身近な手段のひとつである。」と真剣に考えていて、「私が役に立てることなら何でも教えましょう!!」という思いだった。
その後、家まで遊びにおいで、話をもっと聞きたいという流れになって、行くことになった(ここで断るのが用心深い、普通のバックパッカー)。車の中でも、日本とタイの教育システムや津波の話を延々と語り、どこを走って、どこに行っているのか全く見ていなかった。で、家に着いた。
家の主人が出てきて挨拶して、日本やタイ、オーストラリアの話をした後、その主人の仕事の話になった。どうやら豪華客船のクルーらしく、船内のカジノでディーラーをしているそうだ(本当かどうかは知らないが・・・)。で、ブラックジャックのいかさまを教えてやる、という話題になった。(ここで気づかなかったのは、地球の歩き方を読んでいなかったから。自分の中では、あんな本に頼らなくてもなるようになるさ、と思ってた。)
別室に連れて行かれると、用意のいいことにテーブルの上にトランプとチップがある。で、いかさまの練習。次に来るカードと、相手の手の内をを教えてくれるわけだ。それをばれないように上手くするのだが、この人、ディーリングがかなり下手。オーストラリアのカジノのディーラーはディーリング自体そのものが芸術というか、きれいで滑らか〜。彼のディーリングはカードの裏が見えるし、見た感じが素人。動きが洗練されていないわけよ。で、一通り練習が終わったところで、主人のお客さん、豪華客船のゲストだった人が遊びに来てゲームをしようという話になる。
は、今するの?
しかも、タイミング良すぎね?ちょうど練習終わったとこだし。
でも、とりあえずそのゲスト(ブルネイの実業家で自称ホモ)とゲームをやってみた。いかさまやっているから勝った。500 US$くらい。で、彼が時間がないのでこれを最後のゲームにしよう、と提案。最後のゲーム、俺のカード21で彼は20。終わりと思ったら、彼は勝負する金額を徐々に吊り上げて、最後にいきなり50,000 US$ほど出してきて、勝負するかリタイヤするか聞いてきた。そんな金持っているわけがない。最初の掛け金は10US$だったから、最初にリタイヤしたら、俺は500 US$ぼろもうけだった。しかし、主人が、いくらか出してやるから勝負するか?と聞いてくる。勢いに乗って「Yes.」と言っちゃったわけだ。マジでアホ、俺。でも、主人が出してくれた額は50,000 US$に足りない。で、ブルネイのホモ実業家は、50,000 US$の現金を見ないといやだ、クレジットカードで現金を引き出して来い、とごねる。
もう気づいた、これは詐欺だ。(遅いって!!)
ここで、俺は決めた。出したUS$はあきらめる。銀行に行った時点でおさらばだ。とりあえず街へ行って銀行ATMのところまで連れて行ってもらったが、そこがどこだか地理的なことは全く分からない。で、「俺はイヤダ、キャッシングはしない。ビッグマネーもいらない。」と言ったら、とりあえず家に帰ろうと言われて、一緒に歩き出して、少し目を離していた間に彼らはいなくなった。(俺、マジでアホ、Again)デパートの中だったから、人がいっぱいで探しようもなかった。
この後、乗るバスを2回ほど間違えて、どうにかゲストハウスまで戻ってきたのだった。


この事件は、俺の無知と言えば無知が悪いのだが、SYDNEYで会ったタイの留学生やクラビ、プーケットで会ったタイの人が良い人ばかりだったので、バンコクにもすごく期待していた。
しかし、タイの文化に興味を持って旅行に来てくれた外国人に対して、このような仕打ちをする人がバンコクにいると思うと、タイ王国に、バンコクにマジで幻滅した。がっかりだ。残念だ。そして、悲しい・・・
旅の終わりが近づいたこの日の夜、だまされた腹立たしさと、やりきれない思いで、何度もため息をついた。


次回は、タイ政府公認の個人宝石貿易と、先進国、途上国論について書く。